Introduction
「登山道ですれ違うときは登り優先」「見知らぬ人にもあいさつをする」「ゴミは必ず持ち帰る」。登山の基本マナーとしてよく聞く3つですが、なぜそうすべきなのか理由まで知っている方は意外と少ないのではないでしょうか。登山を始めるために必要なもの完全ガイドで紹介した装備と同じくらい、マナーとルールを知っておくことは安全な登山の土台になります。この記事では、それぞれの理由を解説します。
すれ違いは「登り優先」が基本
登山道で登山者同士がすれ違うときは、登る人を優先させるのが基本です。理由は大きく2つあります。
- 登る人のペースを乱さないため: 登りは呼吸が上がりやすく、自分のペースを維持しながら進みたい場面が多い。頻繁に立ち止まらされると、かえって体力を消耗してしまう
- 下る人のほうが視界が利くため: 下りは足元に注意が向きやすく、登ってくる人にも気づきやすい場面がある
道を譲るときは、谷側ではなく山側に寄って待つのが基本です。谷側の縁に寄りすぎると、すれ違う相手やザックに触れてバランスを崩したときに、そのまま転落してしまう危険があるためです。足場が安定した山側で待つようにしましょう。
ただし、これはあくまで基本であり、鎖場やハシゴなど場所によっては下山者を優先させたほうが安全な場合もあります。状況に応じて臨機応変に対応することが大切です。

あいさつは「もしものときの手がかり」になる
登山中は、見知らぬ相手にもあいさつを交わすのがマナーとされています。これは単なる礼儀作法ではなく、安全面でも意味があります。
万が一遭難した場合、捜索は周りの登山者の目撃情報を頼りに行われます。すれ違いのときに顔や服装の特徴を覚えてもらっておくことが、いざというときの捜索の手がかりになるのです。登山計画書の書き方で紹介した下山連絡や登山計画書と同じく、「誰かに自分の存在を知っておいてもらう」という点で共通しています。
また、あいさつをきっかけに一言二言でも言葉を交わせば、先行する登山者から「この先で○○に注意」といった道の状況を教えてもらえることもあります。ちょっとした声かけが、安全な登山につながります。
ゴミは必ず持ち帰る(景観だけでなく安全のためでもある)
ゴミを持ち帰ることは登山者の最低限のマナーですが、これも景観保護だけの話ではありません。北海道庁の公式サイトでは、次のように明記されています。
弁当ガラやジュースなどの空き缶のポイ捨ては、ヒグマとの人身事故を招く恐れがありますので、絶対にやめましょう
登山のクマ対策で紹介したとおり、クマは人間の食べ物のにおいに引き寄せられます。ゴミの放置は野生動物を人里や登山道に呼び寄せてしまい、次にその場所を通る登山者を危険にさらすことにもつながります。ゴミは自分で出したものだけでなく、気づいたものがあれば持ち帰る余裕があるとより安心です。
Summary
- すれ違いは登り優先が基本。道を譲るときは、転落のリスクがある谷側ではなく山側で待つ
- あいさつは単なる礼儀ではなく、遭難時の目撃情報や道の状況を知る手がかりになる
- ゴミの持ち帰りは景観保護だけでなく、野生動物との事故を防ぐという安全上の理由もある
登山を始めるために必要なもの完全ガイド、登山の歩き方の基本とあわせて、マナーとルールを知って気持ちよく登山を楽しんでください。

