導入
残雪期の春山や、朝晩に凍結しやすい秋冬の登山道では、本格的な雪山でなくても滑り止めが必要になる場面があります。しかし「軽アイゼン」「チェーンスパイク」「アイゼン」はそれぞれ何が違うのか、どれを選べばいいのか分かりにくいという方も多いのではないでしょうか。この記事では、3種類の違いと、自分の登山靴に合うかどうかの確認方法を解説します。
軽アイゼン・チェーンスパイク・アイゼンの3つの違い
滑り止め装備は、爪(スパイク)の本数と長さによって大きく3種類に分けられます。
- アイゼン(本格アイゼン): 爪は10〜12本程度と多く長い。真冬の深い雪や、凍結した急斜面など本格的な雪山登山で使用する
- 軽アイゼン: 爪は4〜6本。積雪が少なく傾斜が緩やかな雪道向けで、足裏全体を雪面につける歩き方(フラットフッティング)ができる斜度までであれば踏ん張りがきく
- チェーンスパイク: 爪が短く小さい。深い雪には対応できないが、雪が踏み固められてアイスバーン状になった場所や、水たまりの一部が凍結しているような「傾斜の緩いフラットな凍結路面」で効果を発揮する。ただし傾斜のある場所では踏ん張りがきかない弱点がある
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どんな場面でどれを使うか
実際の登山道では、同じ1日の中でも地面の状態が変わるため、段階的に使い分けるのが実践的です。
- 樹林帯や緩やかな凍結路面: チェーンスパイク。降雪・凍結の初期段階から使えるため、軽アイゼンや本格アイゼンより出番が多い
- 傾斜のある残雪・積雪のある登山道: 軽アイゼン
- 急な傾斜や凍結した斜面が続く本格的な雪山: アイゼン(本格アイゼンでの雪山登山は、別途歩行技術の習得や経験者との同行が前提になるため、この記事では初心者がまず備えるべき軽アイゼン・チェーンスパイクを中心に解説します)
「登山序盤の樹林帯はチェーンスパイク、後半の急傾斜はアイゼンに切り替える」というように、1本の登山道の中で装備を切り替えるケースもあります。
取り付け方式と登山靴の「コバ」の関係
滑り止め装備を選ぶときに見落としやすいのが、自分の登山靴に取り付けられるかどうかです。登山靴のつま先・かかとにある溝状の構造を「コバ」と呼び、取り付け方式によってコバの有無が条件になります。
- ベルト式: コバのない登山靴でも装着できる。ほとんどの靴に対応できるのが利点
- セミワンタッチ式: かかとにコバがある登山靴向け。ベルト式より脱着がしやすく安定感も高い
- ワンタッチ式: 前後のレバーでつま先とかかとの両方をロックする。つま先・かかと両方にコバがある登山靴にしか使えない
軽アイゼン・チェーンスパイクはゴムバンドやベルトで固定するタイプが主流で、コバの有無を問わず多くの登山靴に対応できます。一方、本格アイゼンはセミワンタッチ・ワンタッチ式が多いため、将来的に本格アイゼンを使う可能性がある場合は、登山靴の選び方の際にコバ付きのモデルを検討しておくと安心です。
まとめ
- 爪10本以上の本格アイゼンは深雪・急斜面の本格的な雪山向け、4〜6本の軽アイゼンは緩やかな積雪路向け、チェーンスパイクは平坦な凍結路面向け
- 同じ登山道でも地面の状態に応じて段階的に使い分けるのが実践的
- 軽アイゼン・チェーンスパイクはベルト式が主流でどの登山靴にも対応しやすいが、本格アイゼンはコバの有無で取り付け方式が変わるため事前に確認する
残雪期や凍結路面での滑落・転倒を防ぐためにも、登山の安全対策完全ガイドとあわせて、季節や登山道の状態に合った滑り止め装備を準備しておきましょう。

