登山用グローブ(手袋)の選び方|軍手がNGな理由と熱が奪われる仕組み

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導入

登山用グローブは必要だと聞くけれど、家にある軍手ではダメなのか、何を基準に選べばいいのか分からないという方も多いのではないでしょうか。この記事では、国際山岳医監修の情報をもとに、体から熱が奪われる仕組みから軍手が不向きな理由を説明したうえで、登山用グローブの役割と選び方を解説します。

グローブが担う3つの役割

登山用グローブには、大きく分けて「保護」「防寒」「防水」という3つの役割があります。

  • 保護: 鎖場・岩場で転倒して手をついたときの裂傷防止、木の枝やとげによる刺し傷の防止、グリップ力の向上
  • 防寒: 手先の冷えを防ぎ、行動中の指先の動きを維持する
  • 防水: 雨や雪で手が濡れることによる体温低下を防ぐ

なぜ手は冷えやすいのか

寒さを皮膚が感知すると、自律神経(交感神経)を介して末梢の血管が収縮します。これは、体幹(内臓がある胴体部分)の体温を守るための体の防御反応ですが、その結果として手足など体の末端への血流が犠牲になり、優先的に冷えていきます。行動中に手先の感覚が鈍くなってきたと感じたら、体が「体幹を守るために手足を犠牲にし始めているサイン」と捉えることもできます。

熱が奪われる4つの仕組みから見る「濡れ」の危険性

国際山岳医の市川智英氏(松本共立病院登山者外来)監修の情報によると、体から熱が奪われる経路は次の4つに整理されます。

体から熱が奪われる4つの経路(伝導・対流・輻射・蒸散)を示した図。水は空気のおよそ20倍の速さで熱を伝えるため、手が濡れた状態は特に体温を奪いやすい

  • 伝導: 接触した物質間で、温度が高い方から低い方へ熱が移動する現象
  • 対流: 風や水の流れによって熱が奪われる現象。水は空気のおよそ20倍の速さで熱を伝えるとされている
  • 輻射: 接触がなくても電磁波として熱が発散する現象
  • 蒸散: 汗が蒸発するときに気化熱として熱を奪う現象

この中で注目したいのが「対流」です。水は空気の約20倍の速さで熱を伝えるとされているため、手が濡れた状態は、乾いた状態に比べてはるかに早く体温を奪われてしまいます。ベースレイヤーの選び方で解説した「コットンが登山用インナーに向かない理由」も、まさにこの「濡れると熱を奪われやすい」という同じロジックです。軍手は綿素材でできていることが多く、濡れると乾きにくいため、登山用グローブとしては不向きとされています。

季節別のグローブの使い分け

  • 夏山・低山: 汗をかきやすいため、通気性のよい薄手のグローブや、日焼け防止を兼ねた手の甲を覆うタイプ
  • 秋・気温が下がる場面: フリースなど防寒性のあるインナーグローブ
  • 雨天時・積雪期: レインウェアやゲイターと同じように、防水性のあるシェルグローブを選ぶ

行動中に手が濡れたり冷えたりした場合に備えて、予備のインナーグローブを1組持っておくと安心です。

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ミレー(Millet) QD TREK GLOVE — 保護・防寒を兼ねたトレッキング向けグローブ

ショーワグローブ TEMRES 04advance(透湿防水レイングローブ) — 雨天時・積雪期向けの防水シェルグローブ

まとめ

登山用グローブは、岩場での怪我防止という「保護」の役割に加え、水が空気の約20倍の速さで熱を奪うという仕組みを踏まえた「防寒」「防水」の役割も担っています。軍手は綿素材で濡れると乾きにくいため、コットンのベースレイヤーが向かない理由と同じ理由で登山には不向きです。季節や天候に応じて、防水性・防寒性を備えた登山用グローブを選びましょう。

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