導入
登山では、地図アプリでの現在地確認やヘッドランプの予備電源、万が一のトラブル時の連絡手段として、スマートフォンのバッテリー切れは避けたいものです。そのために欠かせないのがモバイルバッテリーですが、いざ選ぼうとすると「容量はどれくらい必要?」「安いものでも大丈夫?」と迷う方も多いのではないでしょうか。
この記事では、登山でモバイルバッテリーを選ぶときに確認すべき容量・出力の目安に加えて、見落とされがちな「PSEマーク」という安全基準の話、寒さによるバッテリー消耗の対策まで解説します。
登山でのモバイルバッテリーの必要性
登山中は、GPSアプリでの現在地確認、写真撮影、行動中の連絡など、スマートフォンを使う場面が平地以上に多くなります。特に電池残量が少ない状態で道に迷ったり体調不良になったりすると、助けを呼ぶための連絡手段そのものを失いかねません。日帰りの低山であっても、モバイルバッテリーは持ち物リストに入れておきたいアイテムです。
容量(mAh)の選び方:登山の形式で目安が変わる
モバイルバッテリー選びで最初に確認したいのが容量です。最近のスマートフォンのバッテリー容量はおよそ3,500〜4,500mAh程度のため、容量の目安は次のように考えるとよいでしょう。
- 日帰り登山: 5,000mAh前後(スマートフォン1回分のフル充電を賄える程度)
- 山小屋泊・テント泊など宿泊を伴う登山: 10,000〜20,000mAh程度(複数日にわたる利用や、複数の機器の充電に対応できる余裕を持たせる)
ここで注意したいのが、モバイルバッテリーの表示容量と、実際にスマートフォンなどに充電できる容量は異なるという点です。バッテリーから機器へ電気を送る際に電圧変換のロスが生じるため、実際に使える容量は表示容量のおよそ6〜7割程度になります。「表示容量ぎりぎり」で選ぶのではなく、必要量より少し大きめの容量を選んでおくと安心です。

出力(W数)もチェックする:充電速度と対応機器
容量と合わせて確認したいのが出力(W数)です。出力が高いモデルほど、スマートフォンを素早く充電できるだけでなく、充電式のヘッドランプやモバイルGPS端末など、他の機器の急速充電にも対応しやすくなります。USB Power Delivery(PD)対応と表記されたモデルは、対応する機器との組み合わせで充電速度が上がるため、複数の電子機器を持ち歩く方は出力値も比較しておくとよいでしょう。
見落とされがちな安全基準:「PSEマーク」を必ず確認する
モバイルバッテリーを選ぶうえで、容量や出力と同じくらい重要なのが「PSEマーク」の有無です。
モバイルバッテリー(ポータブルリチウムイオン蓄電池)は、充電中の内部ショートによる火災事故などが発生したことを受けて、経済産業省が2018年2月に電気用品安全法の規制対象に加えました。そして2019年2月1日以降、PSEマークの表示がないモバイルバッテリーは、国内での製造・輸入・販売が一切できなくなっています。
つまり、国内の正規ルートで販売されているモバイルバッテリーには基本的にPSEマークが付いていますが、個人輸入や海外通販サイトなどで極端に安い製品を購入する場合、この基準を満たしていない製品が紛れ込むリスクがあります。特に登山では、荷物の中で圧迫されたり気温差にさらされたりと、バッテリーにとって過酷な環境で使うことになるため、PSEマークの有無は必ず確認しておきたいポイントです。
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寒さでバッテリーの減りが早くなる理由と対策
「登山中、思ったよりスマートフォンやモバイルバッテリーの減りが早い」と感じたことがある方も多いのではないでしょうか。これは気のせいではなく、リチウムイオン電池は低温になると放電効率が低下し、あわせて電池を保護するための機能が働いて出力が制限されることがあるためです。
対策としては、次のような方法が紹介されています。
- モバイルバッテリーやスマートフォンを、ザックの外ポケットなど外気に触れやすい場所ではなく、衣類の近くや荷物の内側など、比較的温度が下がりにくい場所に入れる
- 保温ポーチやフリース素材の袋に入れて持ち運ぶ
- 使い捨てカイロを併用する場合は、高温になりすぎないタイプを選び、バッテリーに直接触れさせない
いずれも「バッテリーを冷やしすぎない」ことが基本的な考え方です。冬季や高所など気温が下がりやすい登山では、特に意識しておくとよいでしょう。
耐久性:アウトドアでの使用を想定した設計か
登山中は、モバイルバッテリーを地面に落としたり、ザックの中で他の荷物とぶつかったりすることも珍しくありません。耐衝撃性能や防塵・防滴性能を明記しているモデルを選んでおくと、こうした場面でも安心して使い続けられます。
まとめ
登山用モバイルバッテリーを選ぶときは、日帰りなら5,000mAh前後、宿泊を伴うなら10,000〜20,000mAh程度を目安にしつつ、実際に使える容量は表示容量の6〜7割程度になることを踏まえて余裕を持たせましょう。出力(W数)や耐久性に加えて、PSEマークの有無という安全基準も忘れずに確認してください。極端に安い製品には、この基準を満たしていないものが含まれるリスクがあります。また、寒さでバッテリーの減りが早くなることを踏まえて、保温を意識した持ち運び方も心がけましょう。
装備全体の揃え方は登山初心者に必要なものガイド、ヘッドランプの選び方は登山用ヘッドランプの選び方ガイドもあわせてご覧ください。

