導入
登山の途中で急に力が入らなくなり、足が前に出なくなった経験はありませんか。それは「シャリバテ(ハンガーノック)」と呼ばれる、エネルギー切れの状態かもしれません。この記事では、シャリバテが起きるメカニズムと、行動食・水分補給の基本的な対策を紹介します。
シャリバテ(ハンガーノック)とは何か
日本登山インストラクターズ協会(JMIA)監修の解説記事では、シャリバテについて次のように説明されています。
きちんとした食べ物をとらないで激しいエネルギー消費を行うと、血糖値が下がり、急にひどい空腹感に襲われて全身に力が入らなくなり、動けなくなってしまいます
つまり、登山という激しい運動を続けているのに、エネルギー補給が追いついていない状態です。放置すると動けなくなるだけでなく、判断力の低下にもつながり、道迷いや滑落のリスクを高めます。登山の体力づくり完全ガイドで紹介したように、登山は運動強度の高い活動が長時間続くため、エネルギー切れへの備えが特に重要です。
対策①:お腹が空く前に、こまめに行動食を摂る
同じ解説記事では、行動食を摂るタイミングについて次のように述べられています。
登山中は最低でも2時間に1回は食べ物を補給しよう。お腹が空かない内に前倒しで食べれば疲れない体を保つことが出来きます
ポイントは「お腹が空いてから」ではなく「空く前に」食べることです。空腹を感じた時点ですでに血糖値は下がり始めているため、2時間に1回を目安に、行動を止めずに食べられる行動食をこまめに補給しましょう。

対策②:水分補給も個人差を踏まえてこまめに
水分摂取量についても、同じ解説記事では次のように紹介されています。
1人1日1L~3Lが必要と言われ、2Lが目安のようですが、個人差が3倍と大きく
体格や気温、行動時間によって必要な水分量は大きく変わります。「2Lあれば十分」と機械的に考えず、のどが渇く前に少量ずつこまめに飲む習慣をつけましょう。
山での調理・食事のマナー
テント泊縦走で自炊をする場合や、休憩中に温かい食事を作る場合は、いくつかの決まりごとがあります。
環境省は国立公園の利用マナーとして、次のように明記しています。
植生の破壊、野生動物の誘因、山火事を防ぐため、キャンプやたき火は決められた場所以外ではしないでください
つまり、直火(たき火)での調理は指定された場所以外では禁止されています。山での調理はテント泊縦走の始め方で紹介したコンロ(バーナー)を使うのが基本です。
また、ごみの持ち帰りについても環境省は次のように呼びかけています。
ごみは捨てずに持ち帰りましょう
食べ残しや包装ごみも含めて、出したごみはすべて自分で持ち帰りましょう。国立公園の景観を守るだけでなく、ごみの臭いが野生動物を引き寄せることを防ぐ意味もあります。
行動食の選び方の基本
行動食に厳密な正解はありませんが、次のような点を目安に選ぶと失敗しにくくなります。
- 歩きながら片手で食べられる(個包装になっているもの)
- 溶けにくい・崩れにくい(気温変化のある山では溶けやすいお菓子は扱いにくい)
- 少量でエネルギーになる(糖質を中心に、好みに合わせて塩分も補給できるものを組み合わせる)
寒い季節の行動では、登山の低体温症対策で紹介したとおり、温かい飲み物や食事が体温維持にも役立ちます。登山計画書の作り方を作る際は、行動時間に応じた食料・水の量も計画に組み込んでおきましょう。
まとめ
シャリバテは「お腹が空いてから」では対応が遅く、2時間に1回を目安にお腹が空く前に行動食を摂ることが基本です。水分も個人差を踏まえてこまめに補給し、山での調理・ごみの扱いは環境省が示すマナーを守りましょう。行動食の準備を整えて、バテない登山を楽しんでください。

